こんにちは、ブラック企業卒業生のずみほです。
ある程度の大きさの企業になると「採用サイト」を独自で設ける企業があります。
採用サイトの中身としては
・社長メッセージ
・募集要項
・先輩社員のルーティーン
・職種紹介
などなど、就活生が必要としていそうな情報がぎゅっと凝縮された内容となっています。
しかし、このサイトだけで企業の全貌全てを知ろうなんて無理です。
何故なら「採用サイトの中身」を書いているのは「企業側である」から。
もっと言うと、採用サイトの目的は「企業の外面を求職者により良く見せるため」であるので
中には悪いところを隠し、良いところだけ誇張する企業もあります。
今回は、私が新卒で入社したブラック塾を例に誇張表現の実例を挙げます。
先輩社員のルーティーン
私が入社前に見た先輩のルーティーンはだいたいこんな感じでした。
9:00 朝食
朝はついつい凝ってしまって写真のような朝ごはんを毎日作っています。おいしい朝ごはんは欠かせません!
13:30 朝礼
部署全体での共有事項や連絡事項を確認。
その日一日何をするか明確にするため、個人個人で「To Do List」をつくります。
14:00 打ち合わせ
同じ校舎に入る社員と、生徒情報の共有を行います。
成績の変動、次のテストの目標点、配付・回収物の確認など、事務的なことも打ち合わせます。
15:30 校舎へ出発
事務室を出るときは、「行ってきます!」と大きな声で挨拶すると
「行ってらっしゃーい!」と元気に返してもらえます。そこで、今日も一日頑張ろう!と思えます。
16:30 準備
教室の清掃、生徒用タブレットの準備、テキストや配布資料の用意、座席の確認などを行います。
どんな声かけをするか、何を話そうかもこの時間に考えます。
17:00 授業開始
校舎に来た生徒を笑顔で出迎えます。
個別指導では、生徒のペースに合わせて授業を進めていきます。
21:30 授業終了・ミーティング
終わった後は、外まで出て生徒を見送ります。
その後は、先生達と、生徒情報の共有をします。
22:30 終業報告
1日の振り返りを兼ねて、毎日、生徒の様子や回収物の記録を残します。
問題事象や生徒に関する相談は、上司に報告し、日々改善しています。
今思えば、間違ったこと3割程度・あえて言っていない部分6割で出来たとてもきれいな文章だと思います。
正直、これだけでは企業の実態はわかったものじゃないですが
入社前の私は「このルーティーンなら毎日楽しく過ごせそう!」と感じてしまったのです。
執筆者本人に会いました。
入社後しばらくして、この文章を書いた先輩社員と仕事で会う機会がありました。
私「あの文章書かれたのって・・・」
先輩「あぁ!あれ何年も昔に私が書いた文章だね!まだ掲載されてたんだ!」
え
先輩「7年くらい前に書いたはずなんだけどまだ使われてたんだねー」
ソース、古くないですか?
ちなみに、当時から3年経った今でもその記事は掲載されていました。手抜きにも程がある。
色々聞きたいことがあった私は文章の内容に関して言及してみました。
私「あの文章、朝の9時に朝食とか書いてあったんですがこの部署9時にはミーティング始まってますよね・・・?」
先輩「書いてたね!忙しくない時は9時に朝食取ることもあるからね。年に数回。」
年に数回の出来事を日々のルーティーンとして書かないでください。
私「それにしても、結構豪華な朝食作られるんですね。」
先輩「あれ晩御飯だよ。朝からあんな豪華なご飯作れるわけないじゃん。」
そこ、脚色必要なところでした?
先輩「多分、朝からこんな豪華な料理作る余裕があるってとこを見せたかったんじゃない?私は晩御飯の写真として提出したし。」
人事部の校正に必死さが見えます。
中盤の内容に関しては、書いていない部分も多々見受けられましたがそこは書いてしまうと
企業の評判的に問題ありと判断される事は当時の私でもわかったので特に言及しなかったのですが
私「終業時刻22時半って早くないですか?」
先輩「ずみほくん、22時半に終わるなんて一言も書いてないよ?」
・・・はい?
先輩「この文章の大穴は”終業報告”とは書いてあるけど実際の終業時刻は書かれていないってところだね」
そんな国語の授業するみたいに淡々と言われても。
私「実際に先輩は何時に帰ってるんですか?」
先輩「普段は2時とかかな」
本当にありがとうございました。
募集要項に書かれた待遇
この嘘だらけのサイト
なんと、募集要項に書かれた内容にも実際に勤めてからとのギャップがありました。
<募集要項>
●勤務時間
・13:30~22:30
いずれも休憩時間1時間含む
上記を原則とするが変動あり
●休日・休暇/週休2日制(ゴールデンウィーク、夏季、年末年始などの長期休暇あり)
上手いこと誤魔化してるなぁ
まず勤務時間に関して
「上記を原則とするが変動あり」
変動って何。変動の幅を教えてくれ。
子供達に「点Pの変動はー2から5までとする」とか一丁前に教えておきながら勤務時間の変動を教えないのは
もう彼らに数学を教える権利は無いんじゃないか。
続いて休暇に関して
ここで他社と圧倒的に違うのが
「具体的な年間総休日数が書かれていない」という点。
一般的な企業は「120日」「109日」と具体的な日数が書かれています。
子供達に「具体的な文章を書きなさい」と国語の作文書かせる権利なんて無いと思います。
これで国語と数学が教えられなくなりましたね(皮肉)
実際のトリックとしては週休2日と長期休暇の中に有給が全て消化されてしまうので
入社して最初の数ヵ月は「有給がないのでGW休暇で消化される分の休みは休日出社で補う」というものでした。
休日出社手当?残業代も出してくれないこの会社にそんなものありません。
まとめ
上記を踏まえ、採用サイトの注意点としてはこんなものが挙げられます。
・サイトの情報が古くないか
・募集要項の休日日数や有給日数が具体的に書かれているか確認
・「変動あり」など曖昧な表現に関しては具体例を面接の際に聞く
「面接の際に給料や出勤日数に関する質問はタブー」なんて新卒就活の際にはよく言われますが
そんなことしてたらブラック企業の思うつぼです。
まともな企業なら隠すことなんてないはずなので、ガンガン出勤日数について聞いてもよいと思います。
ただ、それだけを質問すると「コイツは待遇のことしか頭にないのか?」と思われてしまうので
予め他の質問も用意すると良いでしょう。
それでも待遇面で曖昧な返事が返ってきて納得いかない場合は
その企業はブラックの可能性もあるので採用を蹴ってしまいましょう。
時間の惜しい就活生にとってそんな企業にかける時間が無駄です。
また、新卒であっても転職情報サイトを確認して実際に勤めていた人の情報を確認するなど
実際に勤めていた人の生の声を聞くと良いでしょう。
特に、転職理由に関しては赤裸々に書いてあることが多いので一読するのがおすすめです。
企業主体で作られた採用サイトだけでなく、多角的に企業を見ることが出来ると良いですね。